日本内部統制研究学会 
会長 八田進二
2014年7月
2016年11月

2014年7月

2013年11月

2007年12月

 当学会は、2007年12月、「内部統制の研究および実務の振興を図り、わが国社会の持続的発展に貢献していくことを目的」に創設され、初代会長の川北博氏、そして、2代目会長の鳥飼重和氏の下、大きな進展を遂げ、現在、約300名の会員を擁する規模の学会に成長してきています。こうした状況の下、昨年の第6回年次大会において、第3代目の会長を拝命したことで、内部統制に関する多面的な研究の促進および内部統制制度の発展に向け、会員の皆様の多大なるご協力を得て、全力で職責を全うしたいと思っております。
 すでにご承知の通り、近時、内部統制をめぐる状況は、国内外ともに、幾つかの進展が見られるところです。まず、2013年5月には、内部統制の関するグローバルスタンダードともいえるCOSO(トレッドウェイ委員会支援組織委員会)が、20年ぶりに「内部統制の統合的フレームワーク」の全面改訂版を公表したことから、当学会においても、本年1月に、COSOの新会長であるボブ・ハース氏を迎えて、公開シンポジウム「新COSO内部統制リポートがわが国の内部統制実務に及ぼす影響と課題」を開催し、逸早く、最新情報の発信に貢献することができました。
 また、株式会社等の営利法人だけでなく、独立行政法人や特殊法人等の非営利法人においても、内部統制の重要性が指摘されてきており、去る6月には独立行政法人通則法の改正がなされ、そこでは、内部統制システムの整備の義務化等による内部ガバナンスの強化が謳われています。
 更に、同じ6月に公表された、「『日本再興戦略』改訂2014-未来への挑戦」では、「日本の『稼ぐ力』を取り戻す」との視点から、コーポ―レートガバナンスの強化を推進することが強調されていますが、このコーポレートガバナンスの中核をなすのが、まさに内部統制にあるということを再認識することが不可欠であると思われます。
 このように、2008年から始まった金融商品取引法の下での財務報告に係る内部統制の報告制度を超え、健全な企業経営を推し進めるための強靭な事業体を構築するために不可欠な内部統制議論が浸透してきています。こうした議論は、今般改正がなされた会社法の下での内部統制議論においても同様に重要なテーマとなって取り上げられてきています。
 したがって、当学会としても、今後は、経営と密接不可分の関係における内部統制議論を展開していくことが強く求められているものと思われます。
 と同時に、内部統制議論を包含する視点でのガバナンス議論が、あらゆる事業活動の側面において注目されてきており、従来にも増して、実効性のあるガバナンス議論がなされることが求められています。
 ところで、上記の2013年版のCOSO「内部統制の統合的フレームワーク」では、ガバナンス議論と内部統制議論の中間に、全社的リスクマネジメント(ERM)の議論が位置づけられるとしています。しかし、この内部統制議論が対象とするカテゴリーの拡大がなされたことで、ERM議論の見直しと最新化が予定されていましたが、実際に、COSOのボブ会長の下で、このERM議論の見直しプロジェクトが始まったということから、当学会として、関心を持ってその推移を見守りたいと考えています。
 そもそも、1987年のトレッドウェイ委員会の報告書『不正な財務報告』では、内部統制について、それは「複雑で、動的で、絶えず変化している概念」であると捉えることで、内部統制に関心を有するすべての機関等での考えを集約することの必要性を指摘していました。その意味でも、わが国における内部統制に関する唯一の研究団体として、当学会が果たすべき役割と、それに対して寄せられている期待は極めて大きいものと自覚しています。そのためにも、会員の皆様の日々の研鑽と学会活動に対する温かいご支援を念願いたしております。
 このように、近時のガバナンス改革の動向を見定めることで、今回の日本内部統制研究学会第7回の年次大会のテーマを「ガバナンス変革期における内部統制の課題」とさせていただきました。まさに、時宜に適ったテーマであるということからも、ご参加いただく皆様にも大変意義のある討論がなされるものと楽しみに致しております。
 最後に、今回の年次大会を周到に準備してくださった、石島隆準備委員長はじめ法政大学の関係者の皆様に対し、心からお礼を申し上げます。本当に、ありがとうございました。