日本内部統制研究学会 
会長 神林比洋雄
2018年8月
会長挨拶


2018年8月

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2013年11月

2007年12月

わが国では、内部統制への制度的対応として、会社法の内部統制システムならびに金融商品取引法に基づく内部統制報告制度が導入されて10年以上が経過しています。その間、度重なる不祥事やグローバル競争での日本企業の苦境を見るにつけ、攻めと守りの要である内部統制や全社的リスクマネジメントに対する基本的な理解やその実践が組織全体に十分に浸透しているとは、決してまだまだ言えない現状も目の当たりにしてきています。

また、近時の日本企業における製品やサービスの品質問題は、実は1社のみの問題ではなく、顧客ニーズの多様化、グローバル化、製品寿命の短命化、開発期間の短縮要請、コスト削減へ強い要請などの激しい変化の中で、バリューチェーンにおいて取り上げるべき問題であることが指摘されています。品質検査や試験データが改ざんされ、“トクサイ(特別採用)”と言われる慣行が、これまでの阿吽の呼吸の範囲を超え、内部統制の観点からすれば、今や内部のみの問題ではなく、仕入先や納入先という外部をも巻き込んだ外部統制ともいうべき取組みが新たな喫緊の課題として浮上してきます。

このような複雑化する経営環境の中で、2018年に改訂された、わが国のコーポレートガバナンス・コードにおいては、経営陣の積極的なリスクテイクを支える環境整備として、つまり“攻めのガバナンス”として、内部統制やリスクマネジメントの見直しや強化が強く推奨されています。つまり企業や組織が取るべきリスクを取っているかという観点から、企業の未来を指し示す羅針盤として、ガバナンスが果たす機能はますます重要となってきているのです。経営陣が戦略を遂行する上で、受け入れたいと考える不確実性というリスクに対処し、経営陣の想いを実現する上で内部統制の不断の見直しが喫緊の課題となっていると言えるでしょう。無論、コンプライアンスリスクなどは、そもそも取ってはならないリスクであることから、リスクテイクの対象ではなく、その意味で、“守りのガバナンス”としての、内部統制とリスクマネジメントは引き続き、高度化が不可欠であることは言うまでもありません。

このような問題意識を踏まえて、今回の日本内部統制研究学会第11回年次大会の統一テーマは、「内部統制とガバナンス〜原点回帰と未来志向〜」と致しました。まさに、時代の要請に合致した形での最適なテーマと考えます。

今後も、学会として、わが国における内部統制報告制度の健全かつ効果的な運用に貢献できるよう、内部統制の理論と制度に関する研究を促進し、また内部統制に対する正しい理解のための情報発信を進めていけるよう、微力ではございますが全力を傾ける所存でございます。
皆様の限りないお力添えをお願い申し上げます。

敬具