日本内部統制研究学会 
会長 神林比洋雄
2019年9月
会長挨拶


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 我が国では、バブル崩壊以降、“失われた四半世紀”を超える年月を経て、企業業績は一部では回復しつつあるものの、経営効率や株価などは欧米に比しまだまだ相対的には低位にある状態です。そこで、「日本再興戦略」(改訂2014及び2015)では、「稼ぐ力」を取り戻し、資本効率などを高めることが急務とされました。さらに急速に進展するデジタル・トランスフォーメーションなどの外部環境の変化に対処し、日本企業の競争力向上を図るべく、守りのみならず、攻めの経営を志向するコーポレートガバナンス改革が重要な柱として位置付けられました。
 この“攻めのガバナンス”という考え方は、“守りのガバナンス”を主軸として改革を進めてきた諸外国には驚きをもって受け止められました。欧米では、リスクを取るためにリスクマネジメントが運営され、過剰なリスクテイクを抑えるためにガバナンス改革が進んでいます。一方、日本では、リスク回避のためにリスクマネジメントが利用され、リスクを取るためにガバナンス改革が進むという逆の動きになってきています。したがって、日本でリスクテイクを進めるには、“攻め”を意識したリスクマネジメントと内部統制の高度化が不可欠となります。
 現在、我が国では、“形式から実質へ”を合言葉にガバナンス改革への努力が続けられています。そこでは、内部統制が透明・公正かつ迅速・果断な経営陣の意思決定を支える環境整備の一つとして捉えられ、コーポレートガバナンス、リスクマネジメントと共に緊密に連携して、企業の経営理念の実現、戦略の達成をしっかりと支えていかなければなりません。
 内部統制の根幹は、企業の姿勢、つまり取締役会、執行経営陣、従業員、取引先などの姿勢や社風にあります。ミッション、ビジョン、コアバリューがしっかりと定義され、戦略策定に盛り込まれ、また日々の行動に織り込まれ、さらに適切なモニタリングがなされていることが、経営を支える有効な内部統制の大前提となります。
 このような問題意識を踏まえて、今回の日本内部統制研究学会第12回年次大会の統一テーマを、「経営に役立つ内部統制」と致しました。まさに、時代の要請に合致した最適なテーマであるということから、ご参加いただく皆様にとっても大変意義のある討論がなされるものと楽しみにしております。

 最後に、今回の年次大会を周到に準備してくださった、中部大学経営情報学部の田中智徳先生ならびに関係者の皆様に対し、心からお礼を申し上げます。
本当に、有難うございました。
敬具